こんにちは。ADHDのすみれです。
今回の記事では、羽海野チカ先生の漫画『3月のライオン』の感想をご紹介したいと思います。
先生の前作『ハチミツとクローバー』が好きだったので、新連載が始まると知ったときは嬉しくて、1巻発売からずっと追いかけている作品です。
『3月のライオン』は
- 家族
- 健康な体
など、「ふつうの人が当たり前にもっているものをもたない人々」にスポットライトを当てた作品。
私のようなマイノリティ側の人間は、読むたびに共感するところがあって泣いてしまいます。
こんな方は、『3月のライオン』にどハマりすること間違いなしです。
- HSP・繊細さん
- 内向的な方
- ADHDやASDなどのマイノリティの方
- ひとの痛みがわかる方
- ヒューマンドラマが好きな方
それでは、羽海野チカ先生はどんな方かや『3月のライオン』の魅力について語ります。
『3月のライオン』の感想:羽海野チカ先生はこんな方
羽海野チカ先生のことを知った方がより作品の理解が深まるので、まずは先生のことを紹介します。
羽海野チカ先生はとても繊細な方なので、作品もとても繊細。
先生の作品はどれも人間の心の機微が、丁寧に描かれています。
先生にしか出せない絵の柔らかいタッチも好きです。
また、羽海野先生が雑誌のインタビューで答えていたのですが、学生時代は「ぼっち飯」経験者だったとのこと。
「ぼっち飯」とは、一緒に食事をするお友達がいなくて、ひとりでご飯を食べること。
そのためか、先生の漫画の主人公は集団の輪に入るのが苦手な人物であることが多いです。
『3月のライオン』の主人公の零くんもぼっち飯タイプでしたし、前作『ハチミツとクローバー』の主人公のはぐちゃんもそうでした。
そして、羽海野先生といえば大の猫好き。
ずっと猫を飼っていて、作品中にもひんぱんに可愛らしい猫たちが登場します。
『3月のライオン』の感想:簡単なあらすじ
主人公は零(れい)くんという男の子。
高校生にして、将棋のプロ棋士でもあります。
そんな零くんは幼い頃に両親と妹を交通事故で亡くしており、父親の将棋仲間の家に引き取られて育ちました。
引き取られた家では、実子たちとうまくいかず、学校でも友達もおらず、
- 強い喪失感
を抱えながら生きてきました。
零くんの孤独なところや、あまり自己主張しないタイプのところは『新世紀エヴァンゲリオン』の碇シンジを彷彿とさせます。
人間の心の闇の部分も描いている作品という点も似ています。
零くんがプロ棋士になれたのは、もちろんもって生まれ才能もありますが、いちばんは自己無価値観が強く
- 自分には将棋しかない
と、一心不乱に将棋に打ち込んできたのが大きかった。
そんな零くんですが、
- 川本三姉妹
- 高校の恩師
- 将棋の仲間
など、さまざまなひととの出逢いによって、少しずつ少しずつ何かを取り戻していく、そんな作品です。
初期のころは消え入りそうだった零くんが、持ち前の優しさを発揮して、ひととの関わり合いのなかでどんどん変わっていく姿にはジーンときます。
将棋を題材にしていますが、将棋を知らない方でも楽しめるようになっています。
『3月のライオン』:特に印象に残ったセリフ
『3月のライオン』の印象深いセリフをあげたらキリがないんですが、2つほど紹介したいと思います。
あれもこれもと
多くを望まなければ停滞を
受け入れてしまえば思考を停止
してしまえばもうここはゴールで
そして
もう一度
嵐の海に飛び込んで
次の島に向かう
理由を僕はもうすでに
何ひとつ
持ってなかった
もし今
神様が目の前に
現れて「お前の病を
すべて取り除いて
やろうか」と言われたとしても
オレだったら!!オレだったら!!
…………
…………ん?
とりますわ!!!
取る取る「完治取ります」!!
コンマ0.00001秒で即答だわ!!
ーーーっつーか むしろ
かぶせ気味に「お願いします」
言うわっ!!!「病いの苦しみをバネに…」って
治るなら
いらんわ そんなバネ!!
いかがでしょうか......。
なんかこう、自分に重ね合わせてしまうセリフがすごく多いんですよ......。
ほかにも、心に刺さるセリフがたくさん出てきます。
『3月のライオン』の感想:作品の意外性
『3月のライオン』は、しんみりした真面目な作品の印象を受けるかもしれません。
しかし、『3月のライオン』のウリのひとつはなんといっても
- 「ギャグセンスの高さ」
にあるんです。
(上記の引用の2番目で、少し空気感が伝わるかもしれませんが)
作品のところどころに笑えるシーンが出てきて、ひとりで読んでいても思わず声に出して笑ってしまうレベル。
ギャグ的な面白さはもう読んで体感していただくしかないんですが、とにかく暗い展開ばかりで読むのが辛くなるような作品ではないので安心してくださいね。
『3月のライオン』の感想:まとめ
■『3月のライオン』は、
- 「ふつうの人が当たり前にもっているものをもたない人々」にスポットライトをあてた作品。
■『3月のライオン』はこんな方におすすめ
- HSP・繊細さん
- 内向的な方
- ADHDやASDなどのマイノリティの方
- ひとの痛みがわかる方
- ヒューマンドラマが好きな方
■羽海野チカ先生の世界観も魅力
- 繊細な心理描写
- 優しいタッチの絵
- ぼっちな方の目線の世界
- 可愛い猫たち
■見どころ
将棋しかなかった零くんが、少しずつ何かを取り戻していくところ。
■意外性
ギャグレベルが高く、笑えるシーンがたくさん!
『3月のライオン』は、自信をもっておすすめできる素敵な作品です。
優しい物語に癒されたい方、気になった方はぜひ読んでいただけたら嬉しいです。