発達障害の診断

こんにちは。ADHDのすみれです。

  • 「発達障害の診断って、受けた方がいいのかな??」
  • 「診断を受けることでリスクがないか心配」
  • 「診断を受けたはいいけど、診断前とどんな違いがあるの?」

こんな方向けに、社会人になってからADHDと診断された私の体験談と、診断のメリットや注意点を書きました。

私は診断を受けて良かったです。精神面と金銭面の両方でメリットがあったからです。

注意点は生命保険加入で不利になること。診断後に知ってショックを受ける方は多いです。ただ、生命保険に加入できなくとも、その他に使える公的保障があります(後述)。

発達障害と診断されるメリット【精神面】

私はうつ病を疑って精神科へ行ったところ、ADHDの診断を受けました。

診断後、ADHDの症状を知るに連れて、今までの生きづらさの背景にADHDがあったことがわかり、色んなことが一気に線で繋がりました。同時に、「ADHDでなければ、しなくてもいい苦労をさんざんしてきたんだ」と愕然としました。

しかも、30代での診断だったので「もっと早いうちに知りたかった」と思いました。

一方で、自分を家事も仕事もできないダメ人間だと思って生きてきたので、障害特性の影響と知り、気持ちが少し楽に。

困りごとにADHDと名が付いたことで対策も立てやすくなり、診断前より生きやすくなりました。

発達障害と診断されるメリット【金銭面】

発達障害の診断を受けることで、さまざまな社会保障制度を利用でき、金銭的負担を減らせます。

まずは、制度の存在を知ってもらうために私が利用している制度を書きます。(各制度の詳細は、別途記事にしています)

日本は申請主義のため、制度の存在を知らないと申請すらできないためです。

  • 自立支援医療制度➡精神科の医療費が3割から1割負担に
  • 精神障害者保健福祉手帳➡一部の交通機関や美術館などが無料
  • 雇用保険の就職困難者に該当➡失業給付の日数が3か月から10か月に
  • 二次障害で退職後、障害年金を受給できた
  • 就労移行支援を低い費用負担で利用できる

診断を受けることで、困ったときの選択肢が増えます

診断から3か月で自立支援医療、6か月で精神の手帳、1年半で障害年金の申請が可能です(精神の手帳と障害年金は審査制で、ある程度日常生活に支障がないと通らない)。

もし、一般就労で働くのが難しかった場合、精神の手帳があれば障害者雇用の選択ができるようになります。

また、いざ退職してから、ハローワークで精神の手帳(もしくは医師の意見書)があれば、就職困難者として失業給付が10か月※もらえる可能性があります。※雇用保険の加入期間により異なる。

焦って再就職しなくても、自分の特性にあった仕事をじっくり探せるのではないでしょうか。

発達障害は治らないので、医療費もかさみますし、精神疾患になる確率も健常者に比べて高いです。感覚過敏や脳の過活動で疲れやすいので、無理は禁物です。

制度を活用して、少しでも生きやすくすることが大切です。

精神科へ通院する注意点【生命保険の加入が不利に】

「保険に入っておけば良かった!」という発達障害当事者の声をよく見かけるので、保険について触れておこうと思います。

精神科の通院歴があると加入できない生命保険は多いです。

生命保険は、告知書という書類で精神科への通院歴を告知せねばならず、通院歴があると加入対象外とされてしまうのです。

もし、どうしても保険に加入したい方は、精神科に行く前に加入しておいたほうがいいです。

精神科の通院歴があっても入れる保険もありますが、一般の保険に比べて保険料が割高※だったり、保障内容が薄い傾向にあるためです。

※保険加入者間での保険料の公平性の観点から、保険金や給付金の支払いリスクが高い加入者に対して、保険料を高く設定しなければならない。

生命保険に入らなくても社会保険制度がある

ただし、精神科の受診を検討している時点で、生命保険を検討する精神的余裕はないかと思います。

生命保険に入らなくとも、保険料に回すはずだったぶんを貯蓄したり、資産運用にあてたりすることもできます。診断後に、保険料が割高な保険に入るくらいならそうした方が賢明です。

何より、民間の生命保険に入らなくとも、(国民)健康保険や国民年金に加入していますので、いざというときに下記のような制度が使えます。

高額療養費制度

医療費の支払いが高額になることを防ぐために、1か月に負担する医療費の上限(自己負担限度)を超えた部分を払い戻してくれる制度です。

※保険外診療にかかった医療費は対象外です。

たとえば、年収約370万円の人のひと月の自己負担上限額は57,600円です。

高額療養費制度とは?自己負担の限度額、いくら戻ってくるのかの計算方法について説明します

障害年金

障害年金とは、病気やケガ、障害により就労不能な方・十分に働けない方に年金を支給する所得補償制度です。発達障害は、障害年金の申請対象です。

国民年金保険料の納付要件を満たしていれば、初診から1年6か月で申請が可能となります。

※ただし、発達障害と診断されるだけではなく、暮らしや仕事に大きな支障がないと申請が通りませんのでご注意ください。

遺族年金

国民年金または厚生年金保険の被保険者・被保険者であった方が亡くなったときに、その方によって生計を維持されていた遺族が受け取れる年金です。

遺族年金とは?いつまでにいくら受給できる? | おかねの無料相談・見直しはお金のプロ(FP)に | マネードクター【ナビ 】


このように、国民年金から支払われるのは、老後にもらえる老齢年金だけではないのです。現役世代がもらえる障害年金や遺族年金もありますので、保険料は納めておいた方がいいです。保険料を支払えない場合は、必ず納付免除の申請をしておきましょう。

発達障害の診断は生きやすくなるための手段

日常生活に支障が出ている場合、病院に行った方がいいと思います。

発達障害は、生まれつきの脳の機能障害です。

診断を受けたから発達障害者になるのではなく、本来の自分の人生がやっと始まるんです。自分自身が変わってしまうわけではないので、あまり不安がらなくて大丈夫ですよ。

本当は障害者なのに、それを知らないで健常者と同条件で生きるのはしんどいです。生きづらさの原因をはっきりさせて、適切な対処をする方が苦労を減らせます。

個人的には、発達障害の診断を受けて良かったです。少しでもご参考になれば嬉しいです。

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