市役所

こんにちは。ADHDのすみれです。

今回は、発達障害や精神疾患と診断された方向けに、精神障害者保健福祉手帳と自立支援医療制度をご紹介します。

どちらも当事者にとって大きな金銭的メリットがある制度なのですが、必ずしも医療機関や役所が申請するよう案内してくれるわけではありません。

特に、精神の手帳により就職困難者に該当すれば、退職後に失業給付がもらえる金額に約100万円の差が出ることもあります。知っているか知らないかの差は大きいです。

そこで、実際に制度を利用している当事者目線の情報を交えながら、制度の概要と手続きの方法をご案内します。

精神障害者保健福祉手帳とは?

一定程度の精神障害の状態であることを認定する手帳です。障害の重さにより1級から3級に等級がわかれます(1級が一番重い)。

精神障害者の日常生活や社会生活の助けとなるよう、さまざまな支援が受けられます。

何らかの精神疾患(てんかん、発達障害などを含みます)により、長期にわたり日常生活又は社会生活への制約がある方を対象としています。
対象となるのは全ての精神疾患で、次のようなものが含まれます。

統合失調症
うつ病、そううつ病などの気分障害
てんかん
薬物やアルコールによる急性中毒又はその依存症高次脳機能障害発達障害(自閉症、学習障害、注意欠陥多動性障害等)
その他の精神疾患(ストレス関連障害等)

精神障害者保健福祉手帳|経済的な支援|治療や生活に役立つ情報|みんなのメンタルヘルス総合サイト

精神障害者保健福祉手帳のメリット

さまざまな割引制度を受けられる

サービス内容は自治体により異なりますが、たとえば公営バスが無料になったり、一部の美術館や博物館などの入場料が無料に。他には、一部の映画館やカラオケの料金が割引になります。

すごいのは、施設によっては付き添いのひと1名までにも適用されるところ。たとえば、美術館好きの母と美術館にいったところ、大人1名1,400円だったので、2人で2,800円の節約になりました。

下記サイトが、精神の手帳で受けられるサービスについて、全国と各都道府県にわけてまとめてくださっています。
障害者手帳で行こう!~全国版~

就職困難者としての優遇

もし退職してしまって、ハローワークで失業給付の受給申請をする場合。

手帳をもっていると、就職困難者に該当して失業給付のもらえる日数が大幅に延びます。私の場合は、本来90日のところが300日(合計約150万円)に延びました。

就職困難者の詳細は下記をご覧ください。

また、精神の手帳があれば、一般就労だけではなく障害者雇用という選択肢も増えます。

そのため、在職中であっても今後が不安な方は、余裕があるうちに手帳を申請しておいて、もしものときに備えておくのも手です。

自立支援医療制度とは?

精神疾患による通院の医療費が3割負担から1割負担に軽減される制度です。

自立支援医療(精神通院医療)は、すべての精神疾患を対象に、通院による継続的な治療が必要な人が申請・利用できる制度です。

この制度は指定の医療機関・薬局のみで利用可能なものですが、通常3割負担の医療費が1割負担まで軽減されます。また世帯所得や治療内容に応じて月あたりの自己負担に上限が定められるため、原則として上限を超える分の医療費は負担しなくて良いことになっています。

自立支援医療(精神通院医療)ってどんな制度?自己負担額や具体的な申請方法、更新についてまとめて解説します

精神障害者保健福祉手帳と自立支援医療制度は同時に申請できる

実は、精神障害者保健福祉手帳の診断書を使って、自立支援医療制度の申請が同時にできます。

同時申請のメリットは下記の通りです。

  • 自立支援医療用の診断書代を節約できる
  • 役所に手続きに行くのが1回で済む
  • 更新時期が一緒で管理しやすい

精神障害者保健福祉手帳は初診から6か月経過、自立支援医療制度は3か月経過で申請が可能となります。

そのため、上記のメリットを受けたい方は、6か月を経過してから同時申請がおススメです。

2つの制度とも更新制なので、更新時期の把握・手続きを楽にすることもできます。なお、精神障害者保健福祉手帳は2年更新、自立支援医療制度は1年更新です。

精神障害者保健福祉手帳と自立支援医療制度の同時申請の流れ

市区町村の担当窓口(障害福祉課など)で必要書類一式をもらう

医師に精神の手帳の診断書を書いてもらう

自分で書く申請書類を記入

必要書類一式と写真を障害福祉課へ提出

後日、精神の手帳と自立支援の受給者証が届く

なお、私の病院では精神障害者保健福祉手帳の診断書は3,000円でした。

自立支援医療制度は病院によっては申請してすぐ1割負担になる

申請してみて驚いたのが、申請後すぐに申告した医療機関にて1割負担が受けられることです。

障害福祉課に必要種類を提出した際、医療機関に渡す控えを受け取ります。この控えを医療機関で提示することで、受給者証が届く前からでも1割の支払いで診察が受けられるのです。

実際私は申請書を提出した翌日に通院したのですが、病院で控えを提示すると早速1割負担で済みました。

※ただし、医療機関によっては申請書による代用を認めていないところもあるので、ご利用の医療機関にご確認ください。その場合は、余分に負担した分は後日手続きをすることで返金されます。

精神障害者保健福祉手帳と自立支援医療制度の受給者証はどれくらいで届くの?

精神障害者保健福祉手帳は、審査完了通知が届くまで2か月と1週間かかりました。審査完了後、障害者福祉課から手帳を取りに来るよう通知が届くので、取りに行く必要があります。

自立支援医療制度の受給者証は、自宅に直接届きます。私は届くまで3か月と3週間ほどかかりました。通常は、届くまで2か月から3か月かかると申請時に案内を受けたのですが、時期によってはそれより時間がかかってしまうとのことでした。

精神障害者保健福祉手帳と自立支援医療制度は余裕のあるうちに申請しておこう!

申請をしようかどうか迷う方も多いと思います。これは、今後が不安かどうかで決めましょう。

一般就労でバリバリ働いている方は申請していない方が多いです。一方で、今後が不安な方は、心身ともに余裕のあるうちに申請するのがおススメです。

というのも、重症のときは定期的な通院もままならないし、申請の準備も大変だからです。

そして、退職後すぐハローワークへいって失業給付を申請する場合は、すでに精神の手帳があれば、就職困難者と認められて手続きがスムーズです。

精神障害者保健福祉手帳があってもなくても障害者である事実は変わらないので、実利をとっていくのも大事です。

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