ADHDとは?基本的な2つの症状【健常者とは何が違うのか?】

こんにちは。ADHDのすみれです。

・「自分はADHDなんじゃないかな?」
・「ADHDとそうじゃない人の違いは何?」
・「周囲にADHDの人がいるのでADHDについて知りたい」

こんな方向けに、ADHDの基本的な症状と健常者との違いについて、ADHDの私の実体験を交えながらまとめました。

認知度が上がったADHDですが、見た目が健常者と変わらないので、障害を理解するのが難しいのではないでしょうか?

また、ADHDの症状を知ったものの、「それって誰にでもあることでは??」と疑問に思う方も多いかと思います。そんな疑問に答えます。

ADHDの症状は脳の働きの不具合で起こる

発達障害の種類のひとつであるADHD。

発達障害は、生まれつきの脳の機能障害で治らないといわれています。

ADHDは脳の働きがうまくいかないことで、時間を守れない・ミスが多いなど様々な症状が継続的に発生して、日常生活に支障をきたす障害です。

そもそもの脳に原因があるため、本人の努力だけでは改善が難しく、同じ失敗を繰り返しやすいです。

どうしても困難が多いゆえに、「障害」に分類されています。

ADHDは見た目にはわからない障害

ADHDは知的な能力に問題がないので、会話をする程度では周囲が障害者だと気付くことはまずありません

そのため、短時間しか一緒に過ごさない関係の場合、相手をADHDと認識できなくて当然なのです。

ADHDと家族や恋人関係だったり、職場で一緒に働くなど長い時間を共有したりしてはじめて、「あら?なんだかおかしいな」と周囲も思い始めます。

また、身体障害とは違って障害が目に見えないため、周囲には本人の努力不足とみえてしまい、人間関係がうまくいかなくなることも多いです。

ADHDの症状とは?「不注意」と「多動・衝動性」

ADHDは日本語では、注意欠如・多動症といいます。

その名の通り、ADHDの症状は大きく分けると「不注意」と「多動・衝動性」の2つです。

不注意の症状は、次のようなものです。

・注意、集中が続かず、ケアレスミスが多い
・物をなくしたり、置き忘れたりする
・片付けが苦手
・段取りが下手で、先延ばしにする
・指示などをすぐに忘れる
・約束を守れない

また、多動・衝動性の症状は、以下の通りです。

・落ち着きがない、そわそわする
・一方的なおしゃべりや不用意な発言
・感情が高ぶりやすく、いらいらしやすい
・衝動買い、金銭管理が苦手

岩波明『誤解だらけの発達障害』宝島社,2019年,pp.72-73

ADHDの症状の3タイプ

「不注意」と「多動・衝動性」、どの症状が強く出るかはADHDのなかでも個人差があります。

どの症状が強く出ているかで、ADHDは次の3タイプに分類されています。

不注意が目立つタイプを「不注意優勢型」といいます。

ドラえもんに登場するのび太くんは、このタイプといわれています。おっとりしている、マイペース、どんくさいことが多いです。

多動・衝動性が目立つタイプを「多動・衝動性優勢型」といいます。

ジャイアンはこのタイプといわれています。よくしゃべる、活動的、じっとしているのが苦手なことが多いです。

両方が同じくらい目立つタイプを「混合型」といいます。

どのタイプかによって、大きく印象が違いますよね。

実際、ADHDの当事者会にいったとき、おっとりしたタイプと、話すのが早くてちゃきちゃきしたタイプがいて、ADHDのなかでも違いがあるのを感じました。

ひとえにADHDといっても、症状の発現がさまざまなことも、ADHDの理解を難しくしています。

ADHDの私の日常に現れる症状

不注意優勢型の診断を受けている私は、不注意の症状が最も多く、衝動性もみられます。

周囲からは、天然・マイペース・忘れんぼさん・おっちょこちょいといわれます。

いつも時間に追われていて、出かけるときは最寄り駅までダッシュしています。

時間管理が苦手なうえに、出かける準備をしていても、気付いたら目に入った別のことをやり始めてしまうからです。

いざ電車に乗れば、考えごとに夢中で電車を乗り間違えたり、乗り過ごしたりします。

コンビニで支払いを済ませたら、レンジで温めている商品を忘れて店を出てしまい、しばらくしてから取りに戻ったり(取りに戻るときかなり恥ずかしい泣)。

ATMでお金をおろせば、お金を取り忘れたり、キャッシュカードを置き去りにして交番に届けられたりしたことも。

欲しいものがあると我慢できず、10万円以上するものを衝動買いしてしまったことも一度や二度ではありません。

ADHDと健常者の違いは症状の「頻度と程度」

ADHDを理解するのが難しい最大の原因は、時間を守れなかったり、うっかりミスをしてしまったりすることは、健常者にもあることだからです。

では、ADHDと診断される人と健常者との違いは何なのか?

それは、ADHDの場合は症状の「頻度と程度」が度を超えていて、暮らしや仕事に支障が出ているという違いがあります。

「頻度」→ADHDは症状が幼少期から継続してあるけれど、健常者の場合は一過性

「程度」→ADHDは大事なことですら忘れたり、ありえないようなミスをしたりする

具体的な例を挙げてみていきます。

  • ランドセルを家に忘れたまま学校に行ってしまう
  • 空気が読めずに学校でいじめられたり、職場で浮いたりする
  • プライベートだけでなく、大事な仕事の打ち合わせにも遅刻
  • ミスが多くて仕事を首になったり、仕事に適応できず転職が多かったりする
  • 仕事ができず叱責され、うつ病などの二次障害になる
  • どうしても衝動的に怒ってしまい、人間関係を破壊する
  • 金銭管理ができず、借金をしてしまう

このようなエピソードをもつADHD当事者は珍しくありません。

また、精神科医の岩波明先生が素晴らしくわかりやすい解説をしてくださっているので引用します。

ただし、普通の人のうっかりはあくまで一時的なものでしょう。場所や状況が限定的で、一過性です。 一方、ADHDの人は、子ども時代も思春期も、大人になってからも、あらゆる時期に不注意の症状が継続的に現れているのが特徴です。

(一部省略)

また、ADHDでない人のうっかりは、悪い条件が重なったときに起こります。さらに、どうでもいい用事を忘れる事はあっても、大事な用事は決して忘れないでしょう。その区別は明らかです。

しかしADHDの人は、大事な場面でも、そうでない場面でも、同じように不注意が表れることが珍しくありません。

先に挙げた「羽田空港と成田空港を間違える」事例は、うっかりというレベルを超えています。普通、それほど重要なことを間違えることはないでしょう。

岩波明『うつと発達障害』青春出版社,2019年,pp.107-108

ADHDの症状のまとめ

  • 生まれつきの脳の機能障害で治らない
  • 脳の働きに問題があるため、努力だけでは改善が難しいこともある
  • 見た目から障害者とはわからないので誤解を受けやすい
  • 「不注意」、「多動・衝動性」が基本的な症状
  • どの症状が目立つかは個人差があり、「不注意優勢型」、「多動・衝動性優勢型」、「混合型」の3タイプにわかれる
  • 健常者との違いは、症状の「程度と頻度」が度を超えていて、暮らしや仕事に支障が出ているかどうか

発達障害者は見た目が健常者と変わらないため、困っていることをどうしても理解されにくいです。

健常者の方には、「医学的に障害としてカテゴライズされるほどの困難を抱えている人」ということを理解してもらえたらありがたいです。

そう認識した方が、健常者の方の発達障害者へのイライラが減るかもしれません。

もちろん、発達障害であっても人に迷惑をかけてOK!というわけではありません。

自分が生きやすくなるためにも、周囲とのあつれきを減らすためにも、自己の特性を理解して対策をしていきましょう。

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