ADHDを職場でカミングアウトした話【リスクもあるので慎重に!】

こんにちは。ADHDのすみれです。

  • 職場に発達障害を言うか迷っている
  • 仕事が辛くて配慮が欲しい
  • 職場で打ち明けるリスクとは?

このような方向けに、一般就労※で上司にADHDをカミングアウトした体験談と、カミングアウトのリスクについてまとめました。

振り返ってみての結論は、まずは発達障害と明かさずに、配慮を受けられないか相談した方がいいです。カミングアウトしたところで、下記のリスクがあるからです。

  • 発達障害の困難さを理解してもらえない
  • 発達障害でも配慮をもらえるとは限らない
  • 退職に追い込まれることもある

そう考えるに至った理由をみていきます。発達障害者が、一般就労※で健常者と肩を並べて働くのはとてもしんどいですよね。少しでも、ご参考になれば嬉しいです。

※障害者が福祉サービスを利用しながら働く福祉的就労に対して、企業と労働契約を結んで働く一般的な働き方のこと。福祉的就労は給与が低いため、障害を明かさずに一般就労することを余儀なくされる発達障害者は多いです。

ADHDを職場でカミングアウト【理解されなかったが配慮はあった①】

当時、うつ病だと思って精神科へ行ったところ、ADHDと不安障害と診断されました。

上司に病院での結果を聞かれ、ADHDと不安障害をあっさりカミングアウト。私自身がまだ発達障害が何たるかをよくわかっていなかったのです。

ひとまず、マルチタスクが難しいことと、注意の切り替えが難しいことを伝えました。

その後、上司は自らネットでADHD について調べてくださったそうです。

しかし、「性格みたいなものだよね?そんなに気にしなくとも」と言われてしまいました。

優しい上司でしたが、やはり当事者以外の人が発達障害の困難さを理解するのは難しいようです。何より、私も自身の特性の十分な言語化ができていませんでしたし。

とはいえ、ありがたいことに上司はこんな配慮をしてくれたのでした。

  • 量の多い仕事は手伝ってくれる
  • 急ぎの仕事は私に振らない
  • 負荷が低い単調な仕事を回してくれる
  • 相談に乗ってくれる

ADHDを職場でカミングアウト【理解されなかったが配慮はあった②】

この職場は配慮が欲しいからというより、仕事を辞めるために上司Aにカミングアウトしました(ADHDと言わずに辞めようとしたら辞められなかったため)。

仕事の難易度が高過ぎたのもありますが、一番の理由はクラッシャー上司Bに、感情的で理不尽な指導を受け続けて、心が壊れてしまったからです。

無難に、ADHDで仕事についていくのが難しいので辞めたいと上司Aに伝えると、「でも、できるできないで言えばできてますよね?」と言われてしまいました。

この頃は、必死で働き過ぎて体調も崩していたので、上司Aの「何がそんなに大変なの?」というトーンに驚きました。

たとえば、健常者が早歩きくらいの負荷でできることも、私は全力疾走でやってやっとなのですが、相手は「結果」しかみえないので、このように言われてしまうのかと思うと認識の隔たりに愕然

結局、辞めるのを引き留められ、もう少し働くことになったのですが、上司Aは私が苦手と伝えた素早い注意の切り替えと正確性が求められるマルチタスクの業務を減らしてくださったのでした。

ADHDと職場で必ずカミングアウトする必要はない

カミングアウトして感じたのは、健常者はADHDという障害をそこまでシリアスに捉えない方もいるということ。

上司たちが私に配慮してくださったのは私が現に困っているからであって、ADHDの困難さを理解できたからではないのです。

この経験から、「ADHDと告げなくても、困っていることを相談すれば配慮をいただけるのでは?」と考えました(※もちろん、健常者側の人間性にもよるけれど)。

一方で、ADHDと伝えても何の配慮も受けられなかったという声もあるので、まずは診断名を伝えずに相談して、相手の出方を見た方が良さそうです。

カミングアウト損にならないために。

職場でのADHDカミングアウトのリスク

勢いでADHDを上司に告白していましたが、後に、カミングアウトしたことで退職に追い込まれたり待遇が変わってしまうリスクがあると知りました。

職場で診断名を明かすことは慎重になった方がいいです。

精神科医の岩波明先生の書籍から引用します。

 世の中の多くの人は、いまだに「サボっているだけ」「努力すれば治る」といった、発達障害に対する差別や偏見も持ち合わせています。「そんな病気があるわけがない」という医療関係者も、いまだに存在しています。
 残念ながら、当事者の不安が的中することもあると思います。カミングアウトしたことで退職に追い込まれた例も聞きました。
 また、ある程度以上の規模の会社になると、会社の方針として「障害者雇用」という形に雇用形態を変えないといけない可能性があります。そうなると、給料などの待遇面が悪化してしまう恐れがあります。

岩波明『うつと発達障害』青春出版社,2019年,pp.73-74

職場でのADHDによる配慮の伝え方

ADHDの診断当初よりも、自己の特性を理解してからはこんな感じで配慮をお願いしていました。

ADHDと告げずにお願いした配慮でしたが、受け入れてもらえました(小さな組織だったからというのもあったかもしれません)。

  • 「ニワトリ頭なので、口頭で複数の指示を一度に受けるとパニックになったり、やり漏れを起こしやすいです。もし、お手間じゃなければ、メールで出せる指示の時はメールでお願いできますでしょうか?」
  • 「臨機応変に動くのが苦手で、フリーズしやすいです。パターンを覚えれば動けるようになるので、最初のうちは『〇〇して!』というように、とっさにどうすべきか指示を出していただけますでしょうか?

配慮が必要なポイントを明確化&限定して、相手の負担を最小限にとどめると受け入れてもらいやすいです。

職場で配慮をいただくには日頃の印象が重要

私が運が良かったのは、真面目な人という印象だったため、ADHDと告白したことや配慮を求めたことが言い訳と周囲に思われなかったこと。

私はミスを起こさないよう慎重に仕事をするので、とにかく仕事が遅いタイプです。

上司からは、良い面では「真面目・仕事が丁寧」、悪い面では「仕事に時間がかかる」と言われます。

私含め明確な才能がない発達障害者の場合は下記を心がけると、仕事がしんどくなったときに配慮してもらいやすいです。

  • どんくさくても、真面目にコツコツ働く
  • 少しでも得意な業務があればそこで貢献しておく

まずはADHDとカミングアウトせずに職場で配慮を求めてみよう!

仕事が辛いと転職したくなりませんか?

何度か転職してみて思うのは、なんとか仕事に適応できても人間関係や労働環境が悪ければ、また辞めたくなるということ。

要するに、転職はかなりの運ゲーで、転職しても仕事が辛いという問題は解決しないかもしれません。

そのため、今の会社が人間関係や労働環境に大きな問題がなければ、今の会社で粘るのもアリです。

発達障害と明かさないまま配慮をもらうことで働けている方もいますし、部署異動を願い出て仕事内容が変わって働きやすくなった方もいました。

退職はいつでもできるので、今の会社で色んな手段を試してからでも遅くはないです。それが、転職歴をいたずらに増やさないコツです(自戒を込めて)。

退職に追いやられるリスクもあるので、まずは発達障害とカミングアウトせずに困っていることを相談してみましょう。

仕事で苦しい思いをする方が、少しでも減りますように。

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